所 信

 

公益社団法人 水口青年会議所

理事長 小島 達也

 

『意思あるところに道は開ける』

 

 熱い想いは他を圧倒する勢いある行動を呼び起こし、知識や経験を凌駕するだけではなく、時には人の心を動かすことができる。私は、自らの人生においてこのようなことを幾度となく目の当たりにしてきた。青年会議所は、青年世代が成長を遂げる上で、この上ない環境である。一人では到底乗り越えられないような壁を我々に与えてくれるからだ。だからこそ青年会議所は青年の学び舎と言われるのであろう。失敗が許される青年会議所活動において、そこに挑む熱い想いと姿勢により、どれだけの人間を魅了出来るか。多くの人間を魅了出来た時、それこそが私は成長だと考える。

 青年会議所は経営者やそれに準ずる人間、または、社会において成功を収めようとする者などの向上心のある人間で形成されている。その全員が様々なサービスを提供し、その対価を受け取ることを生業とする中で、消費者のニーズに応えるために貪欲に行動し、決して自己満足ではなく、認められることで顧客満足を獲得していく必要がある。この組織に属しているメンバーであるなら必要となる、他を魅了する力は青年会議所活動に真摯に向き合い積極的に取り組むことで、在籍期間中だけでなく、一生涯の武器として得ることが出来る。育ってきた環境はもちろん、年齢も仕事も入会動機も異なるメンバーが形成する組織の中で、他を認めさせることは決して容易なことではないが、ここには同志が居て、同志の言動に鼓舞されるからこそ生まれる感情を原動力とすることでそれを可能にする。これこそが青年会議所の絶対的な魅力である。

 人生は選択の連続であり、その選択次第で、見ることが出来る光景が大きく変わる。ここに属するメンバー一人ひとりが『楽じゃない道』への一歩を踏み出し、『楽しい道』をスタートさせることで、組織内の好循環を生み出し、まちへ多大な影響を与えることが出来るまちづくり団体へ飛躍すると確信する。人生で一度しかない40歳までという限られた期間の中で、時には会社や家族にも負担をかけながら多くの時間を費やすのならば、各々の入会当初の目的を果たすために、また、それを超えるために過去の自分を裏切らない行動を。大前提としてこのような気持ちで青年会議所活動に取り組んでいこう。

 

 

【勢いのある組織環境の構築】

 

 近年、青年会議所は全国的にも会員の減少が課題となっているが、現実を考えると少数精鋭の組織を目指す必要があるのではないだろうか。会員拡大をする必要がないという意味ではなく、新たな会員の拡大と組織内の活躍人口の拡大の両立こそが持続可能な組織への近道であると考える。(公社)水口青年会議所は近年、会員拡大に継続して組織全体で取り組んでいるが、それでも毎年のように課題として挙げられている背景として、社会環境や生活様式の変化により、まちの発展を目指す青年会議所の特性が理解され難い時代になっているのではないだろうか。青年会議所にはまちへの奉仕のために、ここに属していなければ経験し難いような修練を積むことが出来る環境があり、その先にここでしか生まれない友情を築くチャンスがある。これは青年会議所の確固たる魅力であり、他団体と大きく差別化することが出来る行動綱領である。先人たちが築き上げてこられたデータを基に他団体との差別化を図りながら戦略的に会員拡大を行うことが必要である。

 また、昨今の社会情勢により、会員間の交流の機会が激減しているという事態は組織の勢いという点においても明らかに悪影響を及ぼしている。青年会議所ならではの友情は築こうとして築くものではなく、まちへの奉仕のために修練を積み重ねた先に気付けばそこにあるものであるが、積極的に奉仕する精神や修練を行う気概を醸成させるために、会員同士のコミュニケーションの場は必要なものである。『人は人によって磨かれる』青年会議所には、メンバーと共存し行動するからこそ、ここにしかない成長を遂げる機会がある。組織運営のカギを握る、活動への熱量を増幅させることが出来る場を創り上げ、組織の勢いを高めよう。そうすれば、新たな同志も即戦力として活躍することができ、本年度で卒業される多くの同志に対しても、これまでここで活動してきた締めくくりとして最高の想い出と卒業後にも活きる成長の証を渡すことが出来るだろう。

 

 

【市民を魅了する運動発信を】

 

 毎年のように活動エリアである甲賀市湖南市において展開する(公社)水口青年会議所の運動を「あの団体がする事業であれば行きたいな」「毎年、楽しみにしているよ」と心待ちにしている市民の方々はどれほどいるのだろうか。(公社)水口青年会議所が展開するまちづくり運動は持続可能なまちと持続可能な(公社)水口青年会議所を同時に追い求めるべきである。それはすなわち、まちへの影響をリアルに追及しながら、本組織へのファンづくりも同時に行っていかなければならないということである。

 2022年から着手している新たなビジョンにより、ターゲットが明確になっている運動発信において、必要なことはインパクト。現状、決して大きな組織ではない我々がインパクトを与えるために、1年をかけて組織全体でこのまちづくり運動のために費やし、(公社)水口青年会議所の賛同者との協働により活躍人口の創出を加速させよう。『活躍人口が活躍人口を創る』これが5年間でビジョンを達成するための最短距離であると考える。

 まちの未来を担う宝である子どもたちの現状の姿をしっかりと見極めながらゴール地点を明確にし、青年らしい斬新なアイデアと圧倒的な行動力でインパクトある運動発信を。まちに対する結果を示すことで自ずと組織の未来は開かれる。

 

 

【最高の武器を身に付けよう】

 

 世界中の有識者であっても決して予想出来なかった新型コロナウイルスのような疫病、あるいは台風、地震などの自然災害やIT技術の急激な進化により、あらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、先行きが不透明で将来の予測が非常に困難な状況である。この先、著しく変化する状況の中で、未来を切り開く責任を持つ青年経済人だからこそ、如何なる環境に陥ろうとも力強く生きる力=ポータブルスキルを磨くことは全メンバーに共通する目下の急務である。想定外の事態が起きても対応できる柔軟性、迅速に動き出せる行動力、周囲を適応させる影響力が新たな時代に求められるリーダーが持つべき能力であると考える。前述したように他を魅了するには熱い想いが必要であるが、想いだけではなく、しっかりそれを届けなければ意味がない。青年会議所活動のみならず、今後起こす行動における全てのコアとなる、人としての魅力が重要である。

 40歳までの学び舎での経験は卒業後にも活かすことが出来てこそ意味がある。今ここで、この先長く続くそれぞれの楽しい道を歩むために必要な武器を身につけよう。

 

 

【結びに】

 

 青年会議所には『修練・奉仕・友情』という三信条があるが、私は意識をしなくても自然とそれに導かれていたように思う。それは創立から55年間の歴史の中で、偉大な先人たちが築き上げてこられた環境がそうさせるもので、青年会議所が青年会議所であるためにこの先も決して変えてはいけないところであると考える。このような素晴らしい環境の中でそのレールに乗るか反るかは自分次第。私は2016年にここに入会させていただいたが、入会当初から積極的に活動できていたかと問われると決してそうではない。しかし、同年代が集う組織において自分より英知と勇気と情熱を持って行動している同志に出会い「負けたくない」「見返したい」「いいところを見せたい」という気持ちがこみ上げ、そのような気持ちが自らを突き動かす原動力となり、青年会議所と真摯に向き合うことが出来た。そして本年度、新たなステージでの挑戦を始める同志に今もなお鼓舞され続けている。

 正直なところ、青年会議所は楽なものではない。家族や社業を抱える中、背伸びした立場の中で自身の体にムチを打ちながら青年会議所活動に取り組んできた。私は、「どうせやるなら、どうせ同じ時間を使うなら、楽しみながら取り組んだ方が残るものは格段に大きくなる」という思想のもと行動を起こしてきたが、気付けば、かけがえのない多くの仲間に囲まれていた。ここに在籍するメンバーは、少なからず、家族や会社関係者、その他の自身の周囲を彩る方々の協力を得ながら活動しているだろう。そうであるならば、活動させていただいているという意識を持ち、その人たちのためにも必死に自分の価値を高めていこう。一度しかない人生の限られた時間をここで過ごすのならば謙虚に、そして貪欲に。そうすれば必ず自身の成長と青年会議所の魅力を見出すことが出来るはずだ。  

 上手に話すことが出来ても、きれいな文章を書くことが出来ても、豊富な知識を持っていても、熱い想いのある行動が伴わない人間のそれには説得力は生まれない。まずは原動力を確立させ、がむしゃらに行動してほしい。大丈夫、きっと出来る。

 

 

基本方針

 

・活動に対する熱量を高める組織環境の構築

・インパクトあるまちづくり運動の実施

・不透明な未来に通用する人材の育成

・出向者に対する理解と活動への協力

・メンバー全員で行う会員拡大活動の実施

・視野を拡げる各種大会への積極的な参加

・己の価値を高める青年会議所活動の実施

 

公益社団法人水口青年会議所2023年度

LOMスローガン